第50回 | 2023.03.06

“おこめほり”プロジェクト始動します!
~金次郎野菜プロジェクト、直売所開業5年目の次なる一歩~

梅や桃、彼岸桜が咲き始めるなど、春を感じる季節になってきましたね。

我が家は毎年4月1日に中目黒にお花見に行くのですが、年々開花が早まっているのを肌で感じていて、10年前は7分咲きぐらいであったのが、最近は葉桜になりつつあったりして、こんなところで温暖化を感じています。さてさて今年はどうでしょうか。

さて、今回のコラムのテーマについて、タイトルにもありますように、“おこめほり”プロジェクトなるものを会社で立ち上げることにしましたのでそのお話です。弊社の販売事業で扱っている金次郎米に関するプロジェクトです。

たんぼ一枚(1反=10a)あたり収量は約500kg(=年間約10人分の消費量相当)と言われており、今回はプロジェクト専用の田んぼを準備し、その田んぼの田植え・収穫体験や、その田んぼで生産されたお米を購入できるというプロジェクトです。イメージとしては、お米のオーナー制度と思って頂ければ大丈夫かと。

近年、都市農業や中山間地の農業に問わず、CSA(Community Supported Agriculture:地域支援型農業)という取り組みが行われるようになってきました。

これは半年や1年などの単位で契約して消費者が先に代金を支払うことで、生産者は苗や資材などの営農資金を事前に確保し、持続的で安定的な農業経営を行えるような取組みです。

生産者からしてみると、作っても買ってくれるか分からない、豊作になると単価が下がるなど、生産してから販売する場合のリスクを事前に回避できるメリットがあります。

また、地域によっては、担い手不足もあり田植えや収穫時に消費者も協力する、あるいはコンポストなど家庭の生ごみを肥料化して、それを農地に撒いて有機農業に繋げていくなど、地域がまさに支援しながら農業を持続させる取り組みと組み合わせる事例も出てきています。

ロシア・ウクライナ情勢もあり、食の安全保障が改めて注目されていますが、カロリーベースでみて日本の食料自給率は40%を切っていて、近年の推移も減少傾向で下げ止まっています。そこで、国は令和12年に生産額ベースで75%、カロリーベースで45%の目標を設定しています。

出典:いずれも農林水産省ホームページ

しかし、世界的に見れば人口拡大に向かっている傾向で日本は人口減少していることや、海外の高所得者による日本食ブームを背景に、生産者の所得向上を目的として国は輸出政策にも近年かなり力を入れています。

これって矛盾していませんか?

まずは国内の消費者が、しっかりと農業水産業が持続的に経営できる(生産対価に見合う)価格をつけていくことが必要ではないでしょうか。そもそも、弊社の販売事業はそこに原点があります

(販売事業【KABS】については、前々回の第48回コラムもご参考ください。)

直営店開設から4年。金次郎野菜プロジェクト、次の一歩へ

ちなみに弊社は神奈川県にあり、販売事業で扱っている金次郎米も神奈川県の小田原市周辺で生産されていますが、実は神奈川県民のお米の自給率は2.1%しかなく、この金次郎米の品種である「はるみ」はそのうちの3割程度で、かつ、半分程度が給食用に回っているので、実質一般消費者に出回る分は0.3%ほどという状況です。

資料:農林水産省「作物統計調査」、「食料需給表」および神奈川県ホームページより弊社作成

そういった視点でも、このプロジェクトを通じ、我々神奈川の地元のお米として、金次郎米の魅力、生産者の顔や田んぼが見える安心や自分で田植えして収穫したコメを食べるという普通ではできない体験、“あそこの田んぼで取れたお米を食べているんだ”という付加価値を提供したいと考えています。

個人の消費者としても、そんなこと簡単に経験できることじゃないし、自分がそういう体験をしたいから流通研究所という会社を借りて自分で企画しちゃいました。そんなことが出来ちゃう会社、そうそう世の中にありません笑

 

最後に、ここまで読んで頂いた皆さんに朗報?です。皆さんが間違いなく疑問に思うこのプロジェクトの名前の由来については、5歳になる息子が、幼稚園で体験してきたさつまいも収穫と同様に、お米は掘るものだと思っていたことに由来していて、その息子にお米ができる過程を見せながら収穫し、そのお米を食べさせてあげたくてこの企画の発想に至りました。

コンサルタントとしても、今後広がるであろうこの取組みを自らが実証し、取組み課題を探し、農家・消費者がともに持続的に取組みできる方法を模索することで、他の地域に展開できるような仕組みづくりに繋げてきたいと考えています。

詳細は検討中なので、今後もこのコラムや金次郎LINEで周知・広報していきます!また、初年度は実証実験的なので、不手際もあるかもしれませんが、皆様からのご意見もどしどし頂きながら、よいプロジェクトにしていきたいと思います。乞うご期待ください!

 


主任研究員 片瀬 冬樹