第32回 | 2018.11.16

11月24日(いいにほんしょく)は、「和食の日」


皆さんは和食について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。和食と聞くと、寿司や天ぷら、蕎麦など、具体的な料理が思い浮かぶのではないでしょうか。

飲食店のジャンルや、会話のなかで使う「和食」は、それで合っていますが、ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」は、料理そのものだけを意味したものではありません。

ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」は以下の内容です。


南北に長く、四季が明確な日本には多様で豊かな自然があり、そこで生まれた食文化もまた、これに寄り添うように育まれてきました。

このような、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」を、「和食;日本人の伝統的な食文化」と題して、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

◎「和食」の4つの特徴
(1)多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根差した多様な食材が用いられています。また、素材の味わいを活かす調理技術・調理道具が発達しています。
(2)健康的な食生活を支える栄養バランス
一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われています。また、「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿や肥満防止に役立っています。
(3)自然の美しさや季節の移ろいの表現
食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴のひとつです。季節の花や葉などで料理を飾りつけたり、季節に合った調度品や器を利用したりして、季節感を楽しみます。
(4)正月などの年中行事との密接な関わり
日本の食文化は、年中行事と密接に関わって育まれてきました。自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで、家族や地域の絆を深めてきました。


(農林水産省HPより抜粋)

 

そもそも、無形文化遺産とは、人から人へと伝えられる無形の文化を守り伝えるために設けられた制度です。これは、世界に日本の和食を知らしめる意図もありますが、我々日本人に和食の価値を再認識させるためのものでもあります。

農業振興の支援をする立場として注目したいのは、日本の伝統野菜です。野菜は、生産効率や食味向上などの理由から、現在も日々品種改良が進められていますが、日本全国各地には特徴のある野菜が多く残っています。しかしながら、それらの生産量は少なく、生産者も少ないことから、なかには消滅の危機に瀕しているものも多くあります。伝統野菜を守ることは、伝統の保持にもつながります。繰り返し品種改良されていない伝統野菜は、今の野菜とは違う強い香りや甘み、えぐみ、苦み等、多様な味が残っており、それぞれの個性が強いのが特徴です。旬の時期に野菜本来の味を楽しみたい方は、是非一度購入して食べてみてはいかがでしょうか。

変わらぬ良さがある一方で、日本人の食文化は変わりつつあります。日本には世界各国の食文化が入ってきており、食品の保存・加工技術や物流網も発達したことで、いつでも簡単に様々な料理が食べられるようになりました。効率が高まり、食の多様性があることは非常に良いことですが、そんな時代だからこそ、和食の日(11月24日)は1年に1回、自身の食事と食生活を見直す良い機会だと思います。考えるだけでももちろん良いと思いますが、実践することで意識や興味は大きく変わります。例えば、いつもは外食だけど自炊してみるとか、一からダシをとってみるとか、旬の食材を使った食事を意識するとか、できるところから実践してみてはいかがでしょうか。

私は、鰹節削り器の購入を考えています。以前から検討していましたが、1124(いいふし)=かつお節の日でもありますしね(笑)


研究員 岡田 寛史