第8回 | 2017.07.10

情報の活用と管理を考える
~個人情報の適正な管理~

情報のデータ化は利便性を向上させ、近年ではビッグデータが多くの分野に活用されてきています。しかし同時に、そういった情報は漏えいの危険性も持ち得ており、正しく管理しながら活用することが前提条件となります。2005年に個人情報保護法が全面施行されて以来、個人情報の取扱いに対する社会の目は厳しさを増してきました。

当然弊社でも、調査対象者情報をはじめ、農地情報、各種ツール作成データなど、多くの情報を取得・活用しながら調査や分析を行い、戦略や報告書、ツールの作成などを行っています。これまでも社内ルールのもとに情報の適正管理を行ってきましたが、より明確かつ厳格な情報管理を行うため、専門家の意見も交えながら情報管理規定の見直しや実際の運用上の課題解決方法、社内研修など、丸1年の準備期間を経て2016年にプライバシーマークを取得しました。資格取得後も運用上の課題はあり、更に、今年5月には改正個人情報保護法が全面施行となり、グレーゾーンであった内容が明確化されていることから、弊社でも常に改善を図り管理体制の強化を行っています。

そもそも個人情報とは、特定の個人を識別することができる情報のこと。最近、個人情報漏えいに関する事件がニュースなどでも多く取り上げられています。このような事件は、個人の権利利益を害するだけでなく、企業にとっても個人情報保護法違反の責任を問われたり、社会的信用を失うことで、取引機会の喪失や顧客離れ、損害賠償など、大きな影響を受けます。個人情報とは思っているよりも範囲は広く、その情報単独では個人を識別できなくても、ほかの情報と照合することで個人を特定することができれば、個人情報に該当します。今回の改正個人情報保護法では、例えば旅券番号や免許証番号、マイナンバーなどの個人識別符号や、その取扱いに特に配慮を要する要配慮個人情報の取得や利用の制限が追加され、こうした情報も適正に管理していくことが必要です。

当事者に悪意がなくても漏えいにつながるケースもあります。以前から存在していたのかもしれませんが、近年は特に情報は換金が可能なものとして、名簿屋というような商売が拡大しつつあります。一度でも情報が漏えいしてしまえば、データは次々と不特定多数の人に広がってしまいます。企業の場合、その出所は社員であり、たった一人の社員の行為であっても、企業全体に責任が及んでしまうのです。そのため、個人情報の管理については、企業全体で取り組まなくてはなりません。社内での個人情報の管理体制やルールを徹底するためには、社員一人ひとりの意識を高めることがとても重要であると同時に、管理者側はある意味第三者的な立場で社員を監視する必要性もあります。

より有用な情報を集め、分析・活用し、調査結果や戦略の提案、報告書のとりまとめなどの成果を出していくことは業務上欠かせませんし、そこが弊社の土台となります。そういった面でも情報の管理については、社内教育を徹底し、適切に管理が行える環境整備を引き続き行っていきます。


研究員アシスタント 工藤 亮子