第20回 | 2018.01.15

こんな金次郎野菜が人気だ!②
~直売所、道の駅の青果販売担当者様へ~

当コラム第4回では、私は販売事業担当者として当社の金次郎野菜ブランドの人気商品などについて投稿した。今回はまず直近の青果販売環境について振り返り、また第4回と同じく近頃人気の金次郎野菜についてお伝えしたいと思う。

●直近の青果販売環境
2017年秋も近年の例に漏れず、露地野菜の安定した生育が望めない天候であった。10月後半には2週間連続の台風襲来、その後年末を越えてもなお続く降雨不足の影響は大きく、秋冬出荷野菜の生育不良、圃場での傷み、等階級の低下を招く事となった。

私が近隣地域の販売店の売価を確認したところでは、玉レタスは最高値で1玉698円、白菜は半玉売りで300円を優に超えるなど、品不足によって平年を大きく上回る価格が見られた。本稿執筆時でも未だに高値推移の品目が多く、ようやくほうれんそうの下げ見通しが立ち始めた状況である。

金次郎野菜の旗艦販売店となっている横浜市の直売所でも、良きライバルである横浜、群馬等の農家は年末に大方の主力商品を出荷し切ってしまい、1月中旬の現在は売り場に空隙が目立つ。金次郎野菜の農家も例外ではなく、播種や生育の遅れで1か月以上後ろ倒しになっている品目も珍しくない。

●どんな金次郎野菜が人気?
さて、元より金次郎野菜は「若手篤農家が自信と責任を持っておすすめする特選農産物」としており、最大の価値を美味しさに置いている。その点を消費者へお知らせして買って頂くために、販促において私は「どんな美味しさがある野菜なのか?」を最も分かりやすく伝える事に腐心している。ここでは品目別に発見した美味しさをご紹介したい。

●赤だいこん
巷には真っ赤や紫、黒など様々な皮の色をしただいこんがあるが、金次郎野菜で販売したのは肩が赤紫色、地下部が白色の品種である。これは皮が厚くピリッと辛いが、皮を剥いて加熱すればかぶの様に非常に緻密な締まった食感、自然な甘みを感じさせるだいこんであり、加熱して塩を軽く振ると美味しく食べられる。すりおろすと先に甘み、その後で辛みを感じる甘辛混在の複雑な風味である。販促としてはだいこんの断面の写真に生産者の顔写真、加熱調理で生きる旨を打ち出したPOPを掲示して試食販売を行い、10月中旬~12月中旬まで販売した。

この赤だいこんのほか、神奈川県オリジナル品種「湘白」や青首、三浦、おでんだいこん、栽培期間中農薬不使用のミニだいこんなど、生食サラダ向き、加熱で美味しい、煮崩れにくい、とそれぞれ食味によって異なる売り方を行なった。農家の皆さんの努力研鑽の甲斐あって、その後は「金次郎のだいこんはどこ?」と売り場にいらっしゃる方がまだ続いている。

●さといも
年末商材の代表選手である。長期間出荷出来る野菜ではあるが、年末商戦以外で脚光を浴びることは稀ではないか。しかしながら、作り手によって味もアクの出方も変わってくるのが面白い野菜だと思う。同じように茹でても、茹であがりの芋が灰色になりにくいものがあり、食べてみると雑味がなく非常に美味しい。この美味しい里芋には、こだわる消費者からの支持が厚く、あるご婦人からの喜びの声によると、里芋を召し上がらない娘さんがこれだけは進んで召し上がるそうだ。

●にんじん
生でかじって、ほんのりした甘さを感じる物が人気となっている。一方で、別の農家の物は甘さが強くないが、薄切りにして油で炒めるとさつまいもチップスのような良い香りがしてくる物である。後者は市場品、他産地品と比較してやや高値かつ小ぶりとなるため、爆発的な購買とまではいかないが、臭みがなくにんじんらしい味わいで価格差を跳ねのけ、ファンを獲得している。

他に思い入れのある品目も多くあるのだが、同じ品目、品種であっても作り手と栽培環境で味がガラッと変わるのが、農産物の面白さだと思う。新たな発見があればまたお伝えしたい。

 

 


研究員 桂田 宙明