第266回 | 2016.01.05

時代の表舞台に立つ ~平成28年、新年のごあいさつ~

新年、おめでとうございます。

株式会社流通研究所を代表し、新年のご挨拶をさせて頂きます。流通研究所は今年で24年目を迎え、干支を丸2巡する歴史を刻むことになります。これも皆様のご支援の賜物であり、改めて心よりお礼申し上げる次第です。今年も皆様及び皆様の家族が、健康でご多幸でありますようお祈りいたします。

 

本日は、年初にあたり、流通研究所の平成28年の事業方針と、代表者としての私の決意を述べさせて頂きます。

全国に、コンサルタントを標榜する会社は掃いて捨てるほど存在します。その中で、流通研究所は、農業及び水産業に特化していること、国・県・市町村や農協・漁協などを主な顧客にしていること、自ら販売事業を行うなど実践型の事業を行うことなどが特徴と言えます。全国で唯一、オンリーワンのコンサルティング会社でありたい。そんな目標を掲げ、約四半世紀の間、こつこつと実績とノウハウを積み重ね、現在の姿に至ったと言えます。お陰さまで、年商は2億円に達し、従業員数も20名を超える会社にまで成長することが出来ました。

流通研究所が特に重視しているのが、地域の皆様と共に考え悩み汗をかいて、少しでも意義ある答えと成果を生み出していくという行動指針です。コンサルタントというと、悪い印象を持つ方は、「口八丁だけで高い料金を踏んだくるやから」。良い印象を持つ方は、「目からうろこの答えを即答してくれる先生」などと考えるようです。もちろん、コンサルタントにとって知識やノウハウはとても大切ですので、日々研究を重ね、深く熟慮する努力は怠りません。しかし、特に地域活性化という領域では、答えを持っているのは、コンサルタントではなく地域の人々です。私達は、地域の人々が潜在的に持っている能力を引き出し、つなぎ合せ、答えを導き出していくことがコンサルタントの仕事であると考えます。

そのために、より多くの方から丁寧かつ謙虚に話を伺い、一緒に考え答えを見つけ、情熱を傾け、出来ることから共に行動するといった取組みを繰り返してきました。こうした地道さが、流通研究所のコンサルティングの原点であり、これまで全国から支持されてきた理由であり、また会社の社会的な存立意義であると考えます。本年もこれからも、スタッフ一同、この原点を忘れずに、農業・水産業に専門特化する一方で、生産基盤の整備、担い手育成、特産品開発、ブランド化、販路開拓、拠点整備など幅広い領域で、コンサル道を極めてまいります。

昨年10月には、沖縄支店を開設しました。沖縄は、農業、水産業共に無限の可能性を持つ地域ですが、その潜在能力を十分に発揮しているとは言えない面も見られます。亜熱帯の気候を持つことから、本州でも九州でも出来ない特産品を生産出来ますし、現在輸入に頼っている冬場の農産物も、やろうと思えば生産できる品目も多々あります。離島というハンデがある一方で、訪日外国人を含めた観光客は益々増加していますし、定住人口も日本で唯一増加が見込まれる地域です。今年は、この沖縄を流通研究所の重点地域と位置づけ、これまで通り、地に足がついた実直な仕事を積み重ね、少しづつ地域の信頼を獲得してまいります。

県内の若き篤農家が生産する産品を、ブランド化して有利販売するKABS事業(金次郎野菜プロジェクト)は、今年で4年目になります。昨年は、専任担当者を配置して物流システムを再構築すると共に、神奈川県の事業と連携し、出荷者(現在45名)・販売先(現在小売店4か所+ホテルなど)共に拡大することができました。しかし、流通研究所の体制が、事業の拡大ペースに追いつかず、様々課題が浮上しています。

このプロジェクトは、県内の若手農家のブランド力を向上させ経営の安定に結びつけること、野菜ソムリエさん(現在8名)の販促活動を通して、農家とその産品の価値を消費者に伝えることが原点です。事業の拡大に伴い、ややもするとこの原点を見失いがちです。そこで今後は、生産者の経営視点に立ち契約的な取引を主体とした年間提案を個々に行うこと、若手農家・流通研究所・野菜ソムリエとの密なコミュニケーションをとれる社内体制へ転換することなどを年末の社内会議で決定しました。まだまだ未熟なプロジェクトであり、道半ばではありますが、これまでパートナーとして多大な協力を頂いた農家の皆さん、野菜ソムリエさん達への感謝に気持を忘れずに、改善・発展に取り組んでまいります。

次に、私の決意を述べさせて頂きます。私が代表を務め、今年で11年目になります。この間、この場では言えないような厳しい荒波に何度もさらされてきましたが、多くの親類・友人が力強く支えて頂いたことに加え、こんな私に若いスタッフ達がとことんついてきてくれたことで、何とか人に誇れる会社になりました。改めて、親類・友人、そしてスタッフの皆さんに心からお礼申し上げます。ちなみに、「お前の会社の自慢は何だ」と問われると、私は即座に「スタッフです」と答えます。それほど、うちのスタッフは、意識が高く人品に優れ、優秀な人材ばかりです。今年からは、これまでご支援頂いた皆さんへの恩返しの意味も込めて、①マーケット創造、②人材育成、③財務の健全化という代表としての責務を果たすことに、全力を尽くしてまいります。

①マーケット創造については今年、地域活性化の拠点施設である道の駅に改めて着眼した展開を検討しています。流通研究所はこれまで、全国の道の駅約20か所の支援に携わってきました。その結果、管理運営体制やオペレーションシステム、出荷者育成や特産品開発などの面では他社の追随を許さないノウハウを蓄積できたと自負しています。また、全国の駅長や指定管理者になっている大手民間企業などの実務者、並びに飲食や加工、PR・販促、観光、設計など幅広い分野の専門家ネットワークを構築しています。これらの経営資源を活かし、専門家達とプロジェクトチームを結成し、道の駅の新規立ち上げだけでなく、既存の道の駅の経営改善などの領域にも踏み込んでいくことを計画しています。

②人材育成は、永遠のテーマです。流通研究所は、人材自体が商品であり、経営の根幹を成しています。しかし、コンサルタントとしての商品力を持った人材を育成するためには、長い期間が必要です。また、技術的な面だけでなく、流通研究所の経営理念と行動規範を深く理解し、地域に信頼され愛される人材になるためには、さらに年月が必要になります。今年は、現在育ち盛りの若手の育成にさらに力を注ぐと共に、新たな人材の確保にも力を入れてまいります。ちなみに、今年も新規採用の募集をかけていますが、売り手市場であることから、なかなか適任者の応募が見られません。どなたかお心当たりがありましたら、是非ご紹介下さい。

③財務の健全化は、近年飛躍的に進んでいます。特に、三井住友銀行様、りそな銀行様、横浜銀行様の3行からは、これまで一方ならぬご支援を頂いてきた結果、財務状況は以前より大幅に安定しました。3行の担当者様には、この場を借りて心よりお礼申し上げます。財務を健全化するためには、利益の確保が大前提になります。まじめな商売しか出来ず、私自身が根っからのお人よしですので、相変わらず薄利の会社ですが、これからも、より付加価値が高い業務の受注とコストの縮減、並びに費用対効果を見極めた適切な投資により、財務の健全化に地道に取り組んでまります。

流通研究所はまだまだ発展途上であり、私自身も経営者として未熟です。しかし、課題ばかりを整理していても、大きく変動する時代の流れに取り残されてしまいます。不安でも未熟でも、時代の表舞台に立つ勇気と情熱を持って、今年も取り組んでまいります。スタッフ一同、なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

平成28年元旦

株式会社 流通研究所                                                                             代表取締役 釼持雅幸