代表コラム バックナンバー第3回 | 株式会社流通研究所





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代表コラム-二の釼が斬る!-

  • 平成の「二宮金次郎」こと流通研究所代表の釼持雅幸が、激動する農業情勢を独自の視点でレポートします。地域の農業政策立案に、あるいは農業経営の改善にお役立てください。

2010.6.28 第3回
産地改革は進む! ~JAの機能を持ったスーパー農業法人の躍進~

 農業生産法人の数は、平成20年に1万件を突破し未だ拡大傾向にある。法人化は、持続的な発展に向けた農業経営のための登竜門であり、農業の産業化のためにも必要条件である。これまでの法人化は、家族経営からの脱却が主な目的であったが、近年その目的や経営内容に大きな変化が見られる。一つ目の変化は、農地法改正に伴い企業が母体となった法人が登場してきたことであり、その数は現在約400件に上るという。生産から小売までの一貫経営を目指したセブンファームの設立には新時代の幕開けを強く感じたが、その他にも様々な企業が農業に着眼し、主に農業法人設立方式による農産参入を果たしている。こうした動向は、後日特集したいと考えているが、本号では、農家が母体となっており、担い手育成から有利販売までの機能を持っているスーパー法人の躍進について考えてみたい。

 群馬県伊勢崎市に本社を置く、(有)あずま産直ねっとは、自ら人材を育成し他の産地や生産者と連携することで、スーパーを中心に直接取引を行っている。二人で代表を務める松村夫妻はとても魅力的な方々で、二人の人間性を愛し理念と生き方に共感して、この法人に多くの生産者や顧客が自然に集まってくるのだと感じる。現在の従業員数は、正社員5名、研修生7名、その他事務職やパート等合わせて合計30名程度まで拡大している。経営面積はハウスで約2ha、露地で約11ha、主な生産作物はにら、ミニトマト、みずな、ほうれんそう、きゅうり、ねぎ、キャベツ、はくさい、かぶ、ブロッコリーなどである。

 同社では、新規就農を目指す若者を受け入れて、育成し、独立させることに力を入れている。近年地域では高齢化で廃業する農家が増えているが、遊休農地をハウスごと借り受けるかたちで年々規模を拡大している。これまで4名の従業員が独立しているが、独立する従業員のために新たな農地を確保するという考えだ。地域の活性化を目的に、新規就農者と地域の人々を交流させるなど地場密着の活動を展開している。また、周辺市町の篤農家約50名に加え、県内の高原地帯や県外の農家とも連携している。広域での生産者のネットワークを持つことにより、各産地の特性を活かしたリレー出荷が可能となり、年間通じて安定的に出荷できる体制を築いている。あずま産直ねっとが物流車を走らせ提携農家の庭先で集荷し、ニーズに応じて小分けやパッケージングをして取引先に納品する方式である。取引先のニーズに応えようとした結果、自然とこうした協力関係を築くことになったというが、取引を拡大する上でこれがあずま産直ねっとの最大の強みとなっている。

 販売は、直接取引約7割、市場出荷約3割の構成で、取引先は、生協、地元のスーパー及び惣菜屋、漬物屋、ファミレス、チェーン居酒屋など様々である。多様なところから引き合いがあるものの、生産・出荷体制が追いつかないのが実状で、無理な販路拡大はせず、じっくりと取り組める取引先を吟味して選定していく方針であるという。また、昨年からは東京の早稲田の商店街と直売事業に取り組んでいる。商店街の活性化と生産者の顔が見える販売を狙いとしたもので、商品説明ができる地域の八百屋に買取販売してもらう方式をとっている。

 自ら人材を育成する、地域を超えた生産者を組織化する、出荷・加工して一元的に納入する、安定した販路を持ち直接取引するというあずま産直ねっとの取組は、著名なスーパー農業法人に共通するビジネスモデルである。FOOD ACTION NIPPONでご一緒させて頂いている野菜くらぶの澤浦さん、「儲かる農業」で一躍有名になったトップリバーの嶋崎さんをはじめ、表現の仕方は違っても同様な視点で同様な仕組みを築いてきた。ポートフォリオ戦略(産地を分散して生産リスクを回避する戦略)を進めるナチュラルアートに至っては、年間販売額は100億円を超え、有力JAの販売事業と肩を並べる規模を持つ。

 生産者を育成し組織化して、計画生産し、共同販売する。これは従来JAがつくり上げてきた仕組みであるが、スーパー農業法人の取組とは以下のような相違点が見られる。


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 地域農業を守るという義務を持つ公益的な性格を持つJAと、利潤追求が必須要件となる法人とは、当然目的も手法も異なる。しかし、高齢化に伴う生産力の低下や流通構造の変化などを考えると、全ての組合員を平等に扱う協同組合理論や市場への過度な依存体質について、方向転換が求められる時代になっているのではないだろうか。スーパー農業法人はJAと同じ機能を持っていながら、全ての生産者を平等に扱わなければならない、市場流通に依存しているなどJA特有の課題を克服している。今後、スーパー農業法人は間違いなく躍進する。なぜなら、生産者が、取引先が、消費者が、あるいは時代そのものが彼等を求めているからだ。日本農業の構造改革に向けてスーパー農業法人の更なる活躍と全国JAの巻き返しを大いに期待したい。





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プロフィール           P1060154-1.jpg


釼持 雅幸(けんもつ・まさゆき)
shadow_gry_Right.png株式会社 流通研究所 代表取締役。昭和35年11月24日生まれ。
shadow_gry_Right.png神奈川県小田原市出身。
shadow_gry_Right.png立教大学経済学部卒業、国際協力事業団青年海外協力隊を経て、(株)富士経済に入社。
shadow_gry_Right.png平成8年に流通研究所入社、平成18年8月に代表取締役に就任。
shadow_gry_Right.png中小企業診断士、二級建築士。
業務経歴
shadow_gry_Right.png農業及び地域活性化の専門コンサルタントとして、これまで計画づくりや実践指導等に携わる。
shadow_gry_Right.png実績件数100件以上。
その他の活動
shadow_gry_Right.png農林水産省、県、市町村の各種委員を歴任。
shadow_gry_Right.png現在、農林水産省FOOD ACTION NIPPON部会委員・アワード審査員。
shadow_gry_Right.png農産物のブランド化、加工業務用取引、農産物直売所、地産地消、等のテーマで講演会多数。
ワーク・ライフスタイル
shadow_gry_Right.png休みの日は早朝から畑仕事で精を出し、弓道場に通って精神力を磨く。
shadow_gry_Right.png料理大好き、4人家族の主夫。食べることはもっと好き。自分で作った旬の野菜に日々舌づつみ。
自慢できる会社のいいところ
shadow_gry_Right.png若くて、有能で、心から信頼できるスタッフ達。宝物であり同志。
shadow_gry_Right.png社会的使命に燃えて、みんなが助けあい、励ましあって目標を達成する社風。
会社の中で嫌いなところ
shadow_gry_Right.png貧乏暇なし。もう少し余裕が欲しいところ。
これからの夢、やりたいこと
shadow_gry_Right.png「農」を基軸に生産者も消費者も流通業者も持続的に発展する、真に豊かな社会をつくりたい。
shadow_gry_Right.pngスタッフ個々が夢を追い続け、スタッフの家族が幸せを感じ続けられる会社づくり。

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